2019年3月15日

石岡一高校(茨城) 初出場

 

 農学校として創設したのが109年前。21世紀枠で春夏通じて初の甲子園切符を獲得した。「石岡で育ったエース」、最速147キロ右腕・岩本を中心とした輪が奇跡を生んだ。
 創部105年を迎える野球部は春こそ2度の関東大会出場経験はあるが、夏の茨城大会最高戦績は8強止まり。常総学院や土浦日大、明秀学園日立、藤代など強豪校の厚い壁に阻まれてきた。しかし、16年夏の全日本少年中学校軟式野球大会(神奈川)で県南選抜のエースとして4強入りに貢献した岩本が「地元の公立から甲子園に出たい」と石岡一に入学してから“歴史”が動き始めた。
 酒井主将ら現在の主力が「大地(岩本)が行くなら」と決断すると、1学年下の滑川ら同大会経験者も続いた。「全国屈指の好投手がいるので、選手はチャンスと思ったのでしょう。私も全体的に力は付き始めていたと思っていたが、経験がないのにあそこまで勝ち進めるとは…」。川井政平監督(44)は新チームの快進撃を振り返った。
 選抜への第一関門となる秋季茨城県大会。1年生6人を先発に登用した石岡一は、岩本を中心に甲子園常連校をなぎ倒していく。2回戦で明秀学園日立、準々決勝で土浦日大を撃破。準決勝・藤代戦こそサヨナラ負けしたが、関東大会進出を目前にした公立校の4強入りに地元は沸いた。ただ指揮官は同大会初戦だった水戸工との1―0辛勝劇が、逆にナインを引き締めたと確信している。
 「ウチは接戦を守り勝つしかない」。常に戦況を見極め、岩本の球威とコースからバックの守備位置を確認していく。そこに上、下級生の区別などない。「一回も甲子園に行ったことがない。その夢をかなえようじゃないか」。川井監督の言葉を信じて集まった球児が一試合ごとにたくましくなっていった。
 厳しい練習環境も乗り越えた。部員49人の約4割が造園科と園芸科に所属するため、農業実習や課外授業で全員が練習できる時間は限られていた。それでも学科ごとの時間差練習など効率を重視しながら強化へ結びつけた。1月25日の選考委員会で「新しい形の文武両道を示す可能性がある」と評価された。
 「OBの努力や学校の先生、応援してくれた地元の方々の見えないエネルギーが実を結んだのかな」。川井監督らナインは感謝の気持ちを胸に3月18日、大阪入りする。

 

(スポニチ発行2019センバツ特集号から)

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